映画館で舞台の上映記録を見た。
英国のナショナルシアターでのシェイクスピア作『オセロー』。
この演目は本でしか読んだことがなかった。
字幕付きの舞台映像で見ると、相当陰惨なセリフ劇だ。外題役のオセローをはじめ、登場人物の苦しみは血生臭い程だ。
シェイクスピア原作のヴェルディの歌劇『オテロ』が音楽によっていかに作品にカタルシスという名の娯楽味を与えられているかがよく伝わってくる。
舞台装置は抽象的なもの、衣装はある程度現代的なものではあったものの、セリフに字幕がついてあったこともあって、本で読んだ設定から大きく乖離しているという印象もなく、個々の登場人物の役作りが見事なこともあって、物語の世界に惹き込まれた。
世論や社会を表しているだろう群衆が、暗い照明しか当たっておらず、あまり大写しにもならないので、そのあたりの演出効果は映像で減じていたのかもしれない。
それでも、映画館で日本語訳で見ることのできる機会はありがたい。
NTathomeという家庭のPCでナショナルシアターの公演録画を見るサービスの宣伝もあったが、そちらはおそらく(あったとしても)英語字幕だと思われる。(違っていたらご指摘ください。)
そうなると、シェイクスピアのような英国古典よりも、翻訳劇の方が言葉遣いがわかりやすいという現象がありうるかもしれない。